生理前の不調、なぜ起こる?
生理前になると「気分が落ち込む」「イライラする」「体がむくむ」「頭痛や腹痛がある」といった不調を感じる女性は少なくありません。
これらは一般的に PMS(月経前症候群) と呼ばれるもので、多くの女性が経験しています。
今回は、なぜ生理前にこのような不調が起こるのか?その理由と、日常生活をより快適に過ごすためのセルフケアについてお話しします。
1. PMS(月経前症候群)とは?
PMSとは、生理が始まる数日前から起こる心身の不調の総称です。症状は200種類以上あるといわれ、代表的なものには以下のようなものがあります。
◼︎身体的症状
頭痛、腹痛、腰痛、むくみ、乳房の張り、肌荒れ
◼︎精神的症状
イライラ、気分の落ち込み、集中力の低下、涙もろくなる
生理が始まるとこれらの症状は軽くなるか消えるのが特徴です。
2. 生理前の不調が起こる主な原因
(1)女性ホルモンの変動
排卵後から生理開始までの間、体内では エストロゲン と プロゲステロン という女性ホルモンのバランスが急激に変化します。
◼︎エストロゲン
気分を安定させる、肌や髪を美しく保つ
◼︎プロゲステロン
体に水分をためやすくし、基礎体温を上げる
この2つのホルモンが急激に減少することで、自律神経や脳内の神経伝達物質に影響を与え、不調が起こりやすくなるのです。
(2)セロトニンの低下
幸せホルモンと呼ばれる セロトニン は気分の安定に欠かせませんが、生理前は分泌が減少し、気分の落ち込みや不安感、過食などの原因になります。
(3)自律神経の乱れ
ホルモン変動は自律神経にも影響します。
交感神経が優位になることで、イライラや不眠、頭痛などが出やすくなります。
(4)生活習慣やストレス
睡眠不足や栄養バランスの偏り、過度のストレスもPMSを悪化させる要因です。
3. 生理前の不調を和らげるセルフケア
(1)食生活の工夫
◼︎ビタミンB6(まぐろ、鶏むね肉、バナナ)
ホルモンバランスを整える
◼︎マグネシウム(ナッツ、海藻、豆類)
神経の興奮を抑える
◼︎カルシウム(乳製品、小魚)
イライラ軽減
◼︎食物繊維や発酵食品
腸内環境を整える
甘いものやカフェイン、アルコールは症状を悪化させることがあるため控えめに。
(2)運動やストレッチ
軽い有酸素運動(ウォーキング、ヨガなど)はセロトニン分泌を促し、気分を安定させます。
血流改善にも効果的です。
(3)睡眠と休養
質の良い睡眠はホルモンバランスを整える基本。
寝る前のスマホを控え、リラックスした環境を整えることが大切です。
(4)リラックス法
アロマ、深呼吸、入浴などで副交感神経を優位にし、心と体を落ち着かせましょう。
4. 医療的なサポートも選択肢に
セルフケアで改善しにくい場合は、婦人科での相談も有効です。
⭕️低用量ピルでホルモンバランスを安定させる
⭕️漢方薬で体質に合わせて調整する
⭕️精神的な症状が強い場合は、抗うつ薬が処方されることも
専門家のサポートを受けることで、生活の質を大きく改善できる場合があります。
生理前の不調は、ホルモンバランスの変化やセロトニンの低下、自律神経の乱れなど複数の要因が絡み合って起こります。決して「気のせい」ではなく、体の仕組みによるものです。
食生活や運動、睡眠、リラックス法といったセルフケアで軽減できることも多く、必要に応じて医療の力を借りることも大切です。心身の健康のために、自分の体のリズムを理解し、無理をせずに付き合ってみてくださいね。